学校だより 令和8年10月号
「授業への集中」から始まった未来
進路指導部主任 内間早俊
2026年9月13日、本校26期生の古謝玄太さんが、沖縄県知事選挙史上最多得票・最年少で初当選し、県政のリーダーに選ばれました。
そんな古謝さんが24年前に『ぜんしん』に寄稿した東京大学合格体験記が進路指導室の古い資料の中から見つかり、にわかに盛り上がっていました。その合格体験記のタイトルは、「部活と勉強の両立は授業に集中することだ!」です
今回はそんな合格体験記を皆さんに紹介し、今後の学校生活の糧にしてほしいと思います。
古謝さんの合格体験記に書かれているのは、特別な才能を誇る話でも、睡眠を削って机に向かったという話でもありません。高校時代は野球部を中心に生活し、部活動が生活にメリハリを与えていたこと、勉強ではまず授業についていき、宿題や単語テストなど「必要最低限のこと」を確実に行ったことが率直に記されています。受験を意識し始めてからはそれまでの医学部という志望に明確な理由を見つけられず、進学後に学部を選べる東京大学に目を向けたそうです。
この体験記から、今の薬科生に伝えたいことが三つあります。
第一に、学校生活の中心は、やはり1時間1時間の授業です。体験記では「授業で理解し」「疑問を残さないことが肝心」と述べ、分からなければ友人に聞いたり、自分に合う先生を見つけて活用したりするよう勧めています。皆さんも授業をただ受けるのではなく、「今日学んだことを一つ説明できるか」「分からないことを先生に一つ質問できるか」と自分に問いかけてください。その小さな反復が後の大きな差になることでしょう。
第二に、部活動、学校行事、友人との青春の時間は、決して勉強の敵ではないということです。古謝さんは息抜きや睡眠の必要性を説き、「勉強は量より質」と書いています。何かに本気で打ち込む経験が、時間の使い方を磨き、仲間と協働する力を育てるはずです。
皆さんには忙しさを言い訳に何かを諦めたり投げ出したりしないでほしいと思います。部活動があるからこそ授業内で理解しようと努めるし、下校するまでに疑問を解決しなきゃと思えるのではないでしょうか。限られた時間に集中する習慣は、きっと卒業後にも通用する大切な力となるはずです。
第三に、18歳で将来の答えを完成させる必要はありません。古謝さん自身も、初めから進路が一直線に定まっていたわけではありませんでした。大切なのは、分からないまま考えることをやめないこと、いったん選んでみて学びながら選び直すことです。社会で活躍する人とは、最初から正解を知っている人ではなく、現実をよく見て、他者の声を聴き、よりよい答えへアップデートすることができる人だと思います。
古謝さんのように県知事になることだけが「活躍」ではありません。研究、医療、行政、企業、教育、地域活動その他、それぞれの場所で誰かの課題を引き受け、社会を少し前へ進めながら誰かの幸せの一助となることが活躍だと私は思います。そして、そのために必要な力は、いつか、どこかで自ずと身につくものではなく、今日の授業で考え抜き、分からないと声を上げ、仲間と共に一つの目標に取り組み、自分にできることを最後まで果たすことで、少しずつ身に付くものではないでしょうか。
県知事選をきっかけに掘り出した二十四年前の一人の高校生のメッセージは、今も色あせることなく、時代を超えて私たちの前に返ってきました。未来をつくるのは今日一日を疎かにせず、大切に歩んでいく皆さんです。
本校でしか得られない毎日を存分に味わい、最後に笑える学校生活を積み重ねてほしいと思います。
